毎日お疲れ様です! yolicoです。
今日は映画『PERFECT DAYS』をAmazon Prime Video で鑑賞。
2023年劇場公開の映画です。
何かと話題になっていたこの映画、やっと観ることができました。
心のどこかに、とても響く映画です。
2023年に日本・ドイツ合作で制作されたドラマ映画。
ヴィム・ヴェンダース監督が東京を舞台に、役所広司演じる清掃作業員の日々を描く。
第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞したほか、作品はエキュメニカル審査員賞を受賞した。
映画製作のきっかけは、渋谷区内17か所の公共トイレを刷新する日本財団のプロジェクト「THE TOKYO TOILET」である。
プロジェクトを主導した柳井康治(ファーストリテイリング取締役)と、これに協力した高崎卓馬が、活動のPRを目的とした短編オムニバス映画を計画。その監督としてヴィム・ヴェンダースに白羽の矢が立てられた。
ウィキペディアより引用・一部抜粋
淡々と毎日を送る主人公・平山
清掃作業員・平山(役所広司)の淡々とした毎日が描かれる。
暗いうちに目を覚まし、顔を洗って髭を剃り、仕事着に着替え、家を出る。
家の前にある自販機で缶コーヒーを買い、車に乗り込み、車内で聴くカセットテープを選ぶ。
職場である渋谷区の公衆トイレを次々と廻り、トイレ清掃をし、隅々まで磨き上げていく。
お昼ご飯はいつも、決まった境内でサンドイッチと牛乳を食べる。
境内の木漏れ日を愛でて、たまに手持ちのカメラで撮影する。
仕事が終わり自宅へ戻ると、自転車で銭湯へ。一番風呂の常連さんである。
その後行きつけの居酒屋へ行くと、店主が「お疲れさん!」の言葉と共に、いつもの飲み物とお酒のつまみを出してくれる。
そして、自転車で自宅へ戻り、布団に寝転がって本を読み、眠くなったら読書灯を消して眠りにつく。
休日のルーティンも決まっている。
まずは部屋の掃除をして、仕事着などをコインランドリーへ持っていく。
写真屋さんでは、前の週に現像に出していた写真を受け取って、また新たなフィルムを現像に出す。
そして古本屋さんで新たな本を購入する。
いつもの居酒屋とは違う、行きつけの飲み屋へ行き、女将(石川さゆり)の手料理や歌を楽しむ。
家に帰ると、現像した写真を確認して、気に入ったものは残し、うまく撮れていないものは処分する。
そして、また布団で本を読み、眠くなったら明かりを消す。
質素な暮らしは、実は豊かな暮らしだということを思い知る。
多くの現代人の暮らしには、何だかんだと無駄なものが付随しているな、と感じる。
例えばテレビ。そしてケータイを見て何となく過ぎていく時間。
平山は携帯電話は持っているけど、昔の折りたたみのヤツ。
日常で行うことの全てが、ルーティンのようでいて、選りすぐられているような…
全部、自分が「する」と決めたことしかしない、ということ。
多くの人は、「何となく時間やお金を奪っていくもの」をたくさん持っているのかもしれない。
平山のような、淡々と粛々と過ぎていく日々に憧れる人は、私だけではないはず。
いろんな人との関わりで生まれる、小さな波紋
そんな平山の毎日は、単調で退屈かといえばそんなことは無く。
同じように見える彼の毎日も、全く同じ日など一日も無くて、何かしら変化がある。
彼の日常の小さな波紋や、大きな波を起こしていく出来事が、後半で描かれていきます。
日々の、心を動かされる出来事というのは、大抵、人が運んでくるんだなあ、と感じさせられる。
平山は寡黙だけれど、人を拒絶しているわけではなくて、彼なりの距離感で人と交わっている。
人との関わりで生まれる感情も、きちんと持っている。
仕事の後輩のタカシ(柄本時生)と、そのガールフレンドのアヤ(アオイヤマダ)。
急に辞めたタカシの仕事が自分に降りかかったら、疲れ果てて、雇用先にちゃんとクレーム入れるし。
アヤの思いもよらぬ行動には、平山自身にも戸惑いの感情が湧き上がっている様子。
それを、いつもの銭湯でお湯に浸かっている時や、いつもの居酒屋でお酒を飲んでいる時の、ふとした視線・しぐさで表現する役所広司さんが素晴らしいです。
心に残るラストシーン
その後も、平山の姪のニコ(中野有紗)の訪問があり、それに付随して平山の妹(麻生祐未)との久しぶりの再会がある。
行きつけの飲み屋の女将の店で見かけた男・友山(三浦友和)との、偶然が生んだ時間。
いろんな人々との出会い、交わした言葉、過ごした時間が、平山の心にさまざまな感情を刻んでいることを感じます。
その心の様子を表しているのが、ラストシーン。
あの表情は人生そのもの。
平山の、多くの人々の、人生を表すとあの表情になるのだろうな、と。
そして、それも悪くないなあと思えるのです。
質素だけど、お気に入りのものだけで暮らしている平山の生活美。
同じように見えて、全く同じ日は無い、という日々の愛おしさ。
境内で木漏れ日を見つめる平山に「あの木はおじさんの友達?」と訊ねるニコの澄んだ心。
柄本時生さん演じるタカシは「こんな若者、いるよねー」と思うのに、役所広司さん演じる平山は「こんな人いるのかしら…」と感じる不思議。
東京の下町・隅田川の風情、交差する都心の高速道路…平山の瑞々しい生活を垣間見る124分の小旅行、ぜひお楽しみください。