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2025年8月1日に劇場公開された『入国審査』を鑑賞しました。
あらすじ
スペイン在住のカップル、ディエゴ(アルベルト・アンマン)とエレナ(ブルーナ・クッシ)がアメリカの移民ビザに当選し、バルセロナからNYへと降り立ちます。
入国審査でパスポートを確認後、なぜか別室へと連れていかれてしまいます。
そこで、バスケス審査官(ローラ・ゴメス)からさまざまな質問(というより尋問)を浴びせられるふたり。
「なぜ、そんなことまで聞かれるのか」と思える問いの数々により、ある疑惑が炙り出されていきます。
果たしてふたりの行く末はどうなるのか___
不安・苛立ち・威圧… 俳優陣が巧みに表現
慌ただしくも、不安と希望を抱いてタクシーに乗り込み、空港へ向かうふたり。
なんとなくディエゴがそわそわと落ち着きなく思える空港への道中。
バルセロナから飛行機に乗り込み、NYの空港に到着してからも、頼りなく感じるディエゴ。
役所広司とラッセル・クロウを足して2で割ったような、屈強そうなイケメンなのですが、なんだかなあ…
やがて、その後の嵐のような尋問で、そのわけが分かってくる。
不安げな表情、そわそわした目線をアルベルト・アンマンがうまく表現していました。
エレナを演じたブルーナ・クッシも、尋問に苛立つ勝気さや、疲れから徐々に弱気になっていく様子を好演。
そして、バスケス審査官を演じたローラ・ゴメスの目ヂカラ。
あの状況で、あの目線で、山のように質問を投げかけられたら、通常の心境ではいられないな、と思わされます。
最初はこの状況に苛立ちをぶつけていたエレナに対して、「大人しくしておいた方が身のため」「私の裁量で全てが決まる」と言い放つ。
お国の平和のために必要なこととはいえ、まあまあ理不尽さにも溢れていて。
できるなら経験したくない事柄ですね。
ずっと別室。でも引き込まれる凄さ
映画はほぼ、別室でのシーンで進んでいきます。
単調になりそうなものですが、最初はふたりで受けていた尋問も、ひとりを別室に連れていき、ひとりで取り残されたり。
またふたりに戻されたと思えば、今度は審査官がふたりに増えたり。
建物内で工事をしているため、そういう音が部屋に響いてくる。
遠くで聞こえる振動程度だったり、会話が聞こえなくなるほどの騒音だったり、電気が消えてしまい、違う別室に移動したり。
そして、同じようなことを何度も聞かれて、たまに「そんなこと聞く?!」と思うようなプライバシー侵害なことも聞かれて。
彼らの心が、どんどん疲弊していくのがわかります。
そのあたりも、とても上手くて面白いポイントでした。
ラストシーンが忘れられない
監督は、本作が監督デビューとなるアレハンドロ・ロハス&フアン・セバスチャン・バスケス。
脚本も手がけています。
故郷ベネズエラからスペインに移住した際の実体験に着想を得て制作されたそうです。
なんと、制作日数17日間!
低予算の作品ながら、世界各国の映画祭で注目を集めました。
ラストシーンのヒロインの表情が忘れられません。
息詰まる、こちらまで尋問されているかのような77分をぜひ体験してください。