香港映画

大人の”秘めた純愛” 映画『花様年華』

※アフィリエイト広告を利用しています。

毎日お疲れ様です! yolicoです。

先日、TOHOシネマズでやっている「午前10時の映画祭」という企画で、2001年劇場公開の『花様年華』を観てきました。

23年前の映画を、再びスクリーンで観ることができるなんて、嬉しい限りです。

孤独を感じる二人が、心を寄せ合う

60年代の香港が舞台となっています。(撮影は主にタイで行われたそうですが…)

隣り合った二軒の、クウ家とスエン家に間借りすることとなった2組の夫婦。

ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)とその妻。

日系企業に勤める夫のチャンと、商社で秘書として働く妻のスー(マギー・チャン)。

偶然、同じ日に引っ越しをしたこともあり、親しく隣人付き合いを始めます。

チャウの妻と、スーの夫はとても忙しく、あまり家におらず、寂しさを感じていたチャウとスー。

やがて二人は、お互いの伴侶が不倫関係にあることに気がつきます。

劇中では、スーの夫とチャウの妻は”後ろ姿”または”声”しか登場しません。

それゆえか、最も近しい人のはずなのに、とても距離の遠い人(物理的にも、心理的にも)に感じます。

寂しさを埋めるように時間を重ねていくうちに、密やかに恋に落ちていく二人の様子が描かれます。

「一線は引いていたい」というスーの気持ちに沿って、最初は「ただのお隣同士」ですが、どんどんと距離は縮まり…

お互いに離れがたい存在になっていきます。

タクシーの中で、手を触れられそうになっても、そっとその手をかわしていたスーですが、時を重ねるにつれ、その手は触れ合うように。

プラトニック、なのにムーディ

徐々に惹かれあっていく過程が、なんともムーディなのです。

チャウの吐きだすタバコの煙、通りを歩く二人の影、スーの美しい横顔…

映像がとても美しい、大人のラブロマンスです。

プラトニックなのに官能的。

マギー・チャンのチャイナドレス姿によるところも大きいです。

本当に美しい。何着お召しになったのか…数えておけばよかった…

どの衣装にもウットリさせられます。

かなり襟が高めですが、そこが凛としたムードに繋がるのでしょうか。

そして、トニー・レオンの優男感がハンパないです!

髪型、スーツ姿、タバコを吸うさまがキマってます。

すれ違いを繰り返す二人

周りの目を気にせず二人で過ごすために、チャウがホテルの一室を借りることに。

また、このホテルが独特なムードです。

廊下の片側に掛かっている真っ赤なカーテン。その廊下を歩くスーの着ている赤いコート。

部屋の壁紙にも赤が効いていて、二人の心の中の秘めた情熱を見るような…

そのホテルの部屋で、スーが夫に「女がいるでしょう?」と詰め寄る練習をしています。

上手くできずに「苦しいほど悲しい」と言ってチャウの肩で泣くスー。

彼女にとって、彼が心の拠り所になっている様子がわかります。

二人が時間を重ねていることが、周りの噂になり始めたこともあり、身を引く事を決心するチャウ。

そして二人は、今度は別れの練習をします。

スーは悲しみが込み上げ泣いてしまう…

心の拠り所がなくなってしまう、というスーの悲しみが仕草から伝わってきます。

仕事でシンガポールへ発つことになり「一緒に行かないか?」というチャウの言葉。

スーがその返事を伝える時には、すでにチャウは旅立っていて、すれ違う二人。

翌年、スーはシンガポールへ行き、チャウの職場に電話をかけますが、チャウが出る前に電話を切ります。

そして、チャウの部屋で時間を過ごし、彼に会わないまま部屋を去ります。

灰皿に口紅のついたタバコを見つけて、チャウはスーがこの部屋にきていた事を知るのでした。

そして3年後の香港。

スーは、間借りしていたスエンを訪ね、アメリカへ発つというスエンに、また部屋が借りられるか尋ねる。

チャウもシンガポールから香港に戻り、クウを訪ねるが彼らはすでに引っ越しており、新しい住人が住んでいて。

隣のスエン家も引っ越しており、今は女性と幼い男の子が暮らしている、と聞かされる。

奇しくも二人は、出会うこととなったあのアパートの部屋を訪ねていたのでした。

ですが、二人が顔をあわすことはなく、ここでもすれ違う。

旧友と食事をしている時に「昔は、人に言えない秘密がある者は、大木の根に穴を掘り、そこに秘密をささやいて、土で蓋をして永遠に封じ込める」という話をするチャウ。

旧友には一笑に付されますが、チャウはカンボジアを訪れた際に、遺跡に小さな穴を見つけて、そこに何かしらを話して草で蓋をするのでした。

劇中で繰り返し流れる「夢二のテーマ」といい、ラテンナンバーの「キサス キサス キサス」といい、レトロな大人のムードたっぷりです。

「花様年華」とは、「とてもきらびやかで、花のような時代」という意味だそう。

ウォン・カーウァイ監督の、映像と音に酔いしれる98分の小旅行。ぜひお楽しみください!

-香港映画
-, ,