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主演のデミ・ムーアが第97回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた今作品。(受賞はなりませんでしたが)
2025年5月に劇場公開されました。
50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベスは、容姿の衰えからレギュラー番組をクビになり、ある再生医療”サブスタンス”に手を出す。
注射するやいなや、エリザベスの背を破って現れたのは彼女の”より若い完璧な自分”である〈スー〉。
若さと美貌に加え、エリザベスの経験を持つスーはたちまちスターダムを駆け上がっていく。
一つの精神をシェアするふたりは【一週間ごとに入れ替わらなくてはならない】のだが、スーが次第にルールを破り始め_____。
『サブスタンス」フライヤーより引用
デミ・ムーアの圧倒的怪演
デミ・ムーアは現在62歳ですが、劇中では50歳という設定。
冒頭で、デミ演じるエリザベスが出演しているワークアウトの番組で、素晴らしいスタイルを披露しています。
50歳とも思えない、はつらつとしたエリザベスですが、常に新しいものを求めるテレビ業界。
誕生日に仕事を解雇され、たまたま居合わせたトイレでその解雇が、自分の年齢が原因であることを聞いてしまいます。
心が激しく乱れ、自動車事故を起こしてしまい、搬送された病院で「サブスタンス」を知ることとなります。
最初は連絡先をゴミ箱へ捨てるものの、迷った挙句に試してみることを決めたエリザベス。
自宅のバスルームで、全裸の自分を見つめている姿。
レオタード姿のはつらつとしたオーラはどこへやら、下垂している身体や、たるんできた顔をこれでもか、と晒します。
デミ・ムーア、よくこの映画のオファーを受けたな…と感嘆しました。
失っていく若さのせいで、仕事も名声もファンも消えてゆく。
その”失っていくもの全て”に、激しい執着を持ったアラフィフ女性を、痛々しく表現していました。
エリザベスの若さへの強い執着が、悲劇の始まりです。
若さに溢れるスー、誕生シーンは衝撃
いざやってみたサブスタンスで、若いスー(マーガレット・クアリー)が誕生します。
誕生シーンはかなり衝撃的な映像。
全てを明るい光のもとで映し出すので、観ている側の逃げ場がない感じ。
そして生まれ出たスーは、若さに溢れています。
ツヤツヤなお肌、どこも下垂していないボディ、豊かに波打つ髪。
スーのボディを見た後に、エリザベスの身体を見ると「老いって残酷…」と感じます。
そうしてスーとエリザベスの入れ替わりの生活が始まります。
「一週間で入れ替わること」というのが、サブスタンスのルール。
ですが、だんだんとスーがそのルールを破り、一週間を超えて存在するようになります。
そのせいで、エリザベスの身体に異変が起きてきて…
スーの(エリザベスの)若さへの欲望も、悲劇をもたらします。
ルッキズムに対するメッセージ?
スーの若さと美貌、それにエリザベスの経験をもとに、スーはスターダムを駆け上ります。
オーディションの面接官がスーを見て「それぞれのパーツがあるべき場所にある」と感嘆します。
いわゆる”容姿端麗”ということですね。
そこまで美形でない凡人としては、「そこまで完璧じゃなくても、それが個性でしょう?」と羨ましい気持ちをなだめたり、
「容姿より大切なものがあるでしょう?」と建前を述べたり、
「人を見かけで判断するのは間違っている」と、きれいごとを言いたくなる。
ですが、エリザベスとスーの最終形態?”モンストロ・エリサスー”を見て、同じことは言えない。
内面は変わっていない”モンストロ・エリサスー”は「私よ、エリザベスよ」と言うけれど、誰もそんなことを聞き入れてくれない。
結局は誰もが多かれ少なかれ、見た目で人を判断している、ということを思い知らされる。
「それぞれのパーツがあるべき場所にある」という言葉のオチが、こうなるとは…
自信のなさは化粧の濃さに現れる
若いスーが自宅に連れ込んでいた恋人を見かけたエリザベス。
それに触発され、以前に声をかけられ連絡先を渡してきた同級生を誘うのが印象的。
もともと存在すら覚えてなくて、再会しても興味もなく、連絡先もほったらかしていたのに。
「私だって!」という、スーに張り合う気持ちが透けてみえます。
約束の時間にむけて化粧をして、服を着替えて、デート気分のようなエリザベス。
ですが、化粧のやり直しがどんどんおかしなことになっていき…
若さだけじゃなく、自信もなくしてしまった様子が痛々しい。
食事のシーンや、食べ物が描かれますが、どれも食欲減退させられます。
エリザベスの住むとても美しい部屋も、時に激しく乱れ…
いろんな意味で、とても心に残る映画となりました。
デミ・ムーアの身体を張った演技は必見です!